この山に 頂上はないかもしれない
この山に
頂上はないのかもしれない
登り始めて
かなり最初の頃から
うすうすと
なんとなく気づいたけど
ある高さから上は ずっと雲がかかってて
この山の高さも頂上も 見えてはなかったんだよね
ただ
この山が
あまりにも
あらゆる意味で
魅力に溢れてたから
途中下山する気にはならなかったし
ますます険しくなる道も
同時に
いろいろな喜びや発見なんかがあって
なんとか登ってきた
酸いも甘いも楽しみながら
そるが
こりゃ どぉ~か
五合目を過ぎてすぐあたりから
(頂上が見えないから五合目もなんもワカランけど)
なんか
そそりたつ崖みたいになっとるやないかぁ~っっ!!!
びっくり
はぁ~
もうイヤばい
これまでも
今までにないくらい険しい道だったのに
それに及んで次は崖かよぉ~っっ!!
もう
今までの登山スキルは通用しない
ステッキなんか
もはや役にはたたんだろう
もうこれは
ロッククライミングやなぁ~
・・・それこそ
落ちたら死ぬなこりゃ
どうするか?
やめるか?
なんて考えながら
すでに登り始めるワタシ
頂上がどこかも
頂上があるかもワカランのに
あ~っっ
なんで登ってしまうんやろぉ?
あ
思い出した
ヘミングウェイの小説に
【キリマンジャロの雪】ってのがあるんだ
チーターだったかヒョウだったか
一人で 吹雪の中を登ってるんだ
頂上に向かって
で
どちらにしろ
そのチーターだったかヒョウは
生きて山から帰ってくることは出来ないだろうと知っていたに違いない
なのに
何故登るのか?
って
そんな感じだったと思うんだけど
なんだか今
そのヒョウの気持ちが
ちょっとわかるような・・・
いや
ワカランけどさ
小説全部は読んでないし
とにかく
キリマンジャロはさておき
この山
もはや
登山の域を超え
ロッククライミングになってるけど
ホントはもう
『頂上なんてどぉ~でもいい』
そんな気分
てか
『頂上』や
『ゴール』や
『結果』を求めているのなら
もはや堪えられるレベルではない過酷な山
だって頂上なんてないかもしれんとばい
いや
この山に
頂上なんてないって
ホントは気づいてた
それでも
登るのを選んだのはワタシ
あのね
『登る』って
それ自体に意味を見出してる
この
必死な
沁沁な
この
一歩一歩が紡ぎだすものがあると知ってるんだワタシは
『結果』ってのは
求めるもんぢゃなく
後からついてくるもの
少なくとも
この山に関しては
だから
ワタシはこれからも登るよ
それに
これでけっこうハピネスやピースもあるんだ
ここにしかない
この山にしかない
ハピネスとピースが
ワタシは
運がいい